タイトル:TPPにおける投資家対国家間の紛争解決について
執筆者:Ko-Yung Tung
日付:2015年9月15日
The State Bar of California International Law Section 発行のThe California International Law Journal Vol. 23, No. 1, Summer 2015にて、Ko-Yung Tung(モリソン・フォースター、シニア・カウンセラー)が「TPPにおける投資家対国家間の紛争解決について」を執筆しました。
イントロダクション:
アメリカは、現在、環太平洋地域11カ国(日本、オーストラリア、メキシコ、カナダ、マレーシア、チリ、シンガポール、ペルー、ベトナム、ニュージーランド及びブルネイ)との間で、環太平洋経済連携(TPP)[協定]として広く知られる、同地域の貿易投資体制の構築に向けた交渉の最終段階にある。世界第一位の経済大国であるアメリカと第三位の日本が参加することで、TPPは世界のGDPの約4割を占めることとなる。これに対し、欧州連合が世界のGDPに占める割合は約18%に過ぎない。
環太平洋経済連携協定(TPP協定)の交渉が秘密裏に行われているなか、先日、ウィキリークスが同協定の投資家条項の草案を暴露した。本稿では、この草案の「投資」に関するチャプター中の、投資家対国家間の紛争解決(ISDS)に関する条項について、注目すべき点を簡潔に説明する。先ず最初に、注意すべき重要なポイントが2つある。その第一は、ウィキリークスが暴露したバージョンが本物かどうか、またそのバージョン(「2015年1月20日付草案」とされている。)がその日付現在の最新の草案かどうかという点、第二は、他の11カ国の政治状況はもちろん、アメリカの政治状況次第では、最終的にTPP協定のISDS条項がどのような形になるか、ましてやTPP自体が締結されるかどうかの見通しも不透明である点だ。本稿は、いわゆる「2015年1月20日付草案」について考察するものである。
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First published in The California International Law Journal, a quarterly publication of the International Law Section of the State Bar of California.
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